「そうだ、雪乃ちゃん?」
「はい……」
「雪乃ちゃんに教えてあげるよ」
彼はそう言って、ニッコリ微笑んだ。
教えてあげるって何を?
「あいつの本名ね、聖夜って言うんだ」
「えっ?」
目を見開き、彼を見る。
聖夜さんは私に本当の名前を教えてくれてたんだ。
私には本名を教えたらダメだと言ってたのに……。
だからずっと偽名かと思ってた。
「仕事で使う源氏名はね、アキって言うんだよ」
ーーアキ。
レイナさんが呼んでた名前だ。
「あいつの本名を知ってるのは、ホストクラブのオーナーと俺と、君だけ」
彼はそう言ってクスリと笑った。
そして、彼は教会の扉をゆっくり開けた。
「じゃあね……」
そう言って笑顔を見せた彼は、教会の外に出て行ってしまった。
扉が閉まる音が静かな教会の中に響いた。



