「ここって、昔は保育園と施設があったんでしょ?」
彼の言葉にコクンと頷いた。
「聖夜は、ここにあった施設で育ったみたいなんだ。施設の前に捨てられてたんだって。だから親の顔も知らないって言ってた」
手紙のお兄ちゃんが聖夜さんとわかった今、施設で育ったことに驚きはなかった。
「中学を卒業して、施設を出て職を転々としてたみたい。施設出身だから偏見の目で見られたり、いろいろあったみたいだよ」
「そうなんですね……」
彼の話を聞いただけでも聖夜さんがどんな人生を歩んで来たのかわかる。
生まれた時から両親がいて当たり前の生活をしていた私とは違う。
施設出身だからと偏見の目で見られたり、辛い事も多かったんだろう。
そう思うと、胸がキューと苦しくなって、なんとも言えない感情が込み上げてきた。



