全て話し終わった後、レイナさんは目を見開いたまま固まっていた。


見開いた目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちたていく。


それは2度も嘘をつかれていたことへの怒りの涙なのか、悲しみの涙なのか、表情だけでは読み取れない。



「レイナ?雪乃を責めないで……僕が全て悪いんだ……」


「何で……何で、最初から本当のことを言ってくれなかったの?」


「ゴメンね……」


「最初から本当のことを言ってくれてても私はアキに協力してたよ?」


「そうしたらレイナも犯罪者になってしまう」


「そんなこと気にしなくても……」



レイナさんはズルズルと鼻をすすりながらそう言った。



「レイナ、雪乃を警察に連れて行ってやって欲しいんだ」


「うん」


「その時に、レイナは何を聞かれても知らぬ存ぜぬを通すんだ」


「えっ?」


「絶対に余計なことをしゃべったらダメだよ。レイナは僕に頼まれて雪乃を警察に連れて来ただけ。後のことは何も知らない、いいね?」


「アキ……」


「雪乃を早く連れて行って……」



そう言った聖夜さんは私から手を離した。



「雪乃ちゃん?立てる?」


「はい……」



私はレイナさんの手を借りて立ち上がる。


私たちを見上げる聖夜さんは力無く笑っていた。


聖夜さん……聖夜さん……。


涙がポロポロと流れていく。



「雪乃、ゴメンね……それから、ありがとう……」



聖夜さんは私に優しい笑顔を見せてくれた。