「そんなこと、軽々しく口に出したらダメだよ」



私は首を左右に振った。


軽々しく口に出してなんかない。


聖夜さんが好き。


だから……。



「雪乃?僕も一応、男なんだよ。可愛い子からそんなこと言われたら本気にしちゃうよ?」



聖夜さんはそう言ってクスリと笑うと、再び私の唇に自分の唇を重ねてきた。


さっきのキスと違う。


初めて経験した大人のキス。


そして……。


その夜、私は初めて聖夜さんに抱かれた。


ガラス細工のように繊細なものを扱うように、優しく優しく……。


静かな部屋に交わる息遣い。


時折見せる、聖夜さんの苦しそうな顔。


それが、とても綺麗で切なくて、泣きそうになるくらい胸がキューと苦しくて……。


私は聖夜さんの背中に手を回して、聖夜さんの優しい体温を感じていた。