「聖夜さん?」
何で?
何で冗談って笑ってくれないの?
ねぇ……。
「雪乃……雪乃……」
私の何度も呼ぶ。
聖夜さんが私の体を少し離した。
聖夜さんの目が私を捕らえる。
いつもの冷たく鋭い目じゃなく、切なく悲しそうな目をしている。
そして……。
聖夜さんは、私の体を床に倒していった。
上に聖夜さんがいて、私を見下ろしている。
前に垂れ下がった髪の間から見える聖夜さんの切れ長の目。
とても綺麗な顔。
私の胸はドクン、ドクン、と、激しく脈打っている。
お互いの吐き出す息の混じり合った音だけが静かな部屋に響く。



