聖夜さんがベッドから降りて、私の前に座った。
「聖夜、さん?ベッドで寝……」
ーー寝ていて下さい
そう言いかけた時……。
聖夜さんが再び私の手を掴み、引っ張った。
その勢いで体が聖夜さんの方に倒れる。
聖夜さんにギュッと抱きしめられた体。
高鳴る胸。
「聖夜、さん?」
震える声で聖夜さんの名前を呼ぶ。
胸が痛い。
ドキドキと痛い。
冗談だよね?
また前みたいに“冗談”って笑うんでしょ?
でも……。
聖夜さんの私を抱きしめる腕にギュッと力が入る。
「雪乃……」
耳元で囁くように言った私の名前。
その声は凄く切なく聞こえた。



