秘密恋愛




私はキッチンに行き、タオルを水で濡らした。


それを持って部屋に戻り、聖夜さんのおでこにタオルを置いた。


体温計もなく薬もない。


レイナさんにも頼めない。


私に出来ることといったら、それくらいしかない。


タオルが乾いてきたら、水で濡らし、また乾いたら水で濡らす。


それを何回も繰り返した。


どれくらい時間が経ったか……。


何度目かわからないけど、聖夜さんのおでこに乗せたタオルを取り、キッチンに行こうとした時。


聖夜さんに手を掴まれた。


あまりの突然の出来事に肩がビクンと揺れる。


ゆっくり聖夜さんの方を向くと、目を覚ました聖夜さんがこちらを見ていた。


目が合い、胸がトクンと跳ね上がり、私は思わず目を逸らしてしまった。