わたしの頬から聖夜さんの手が離れる。
床に落ちた手。
目を閉じた聖夜さん。
「聖夜、さん?ベッドで……」
どうしていいのかわからない私は、聖夜さんにそう声をかけた。
「…………ん?あぁ、そうだったね」
少し目を開けた聖夜さんは、そう言って体を起こす。
少しフラフラした足取りでベッドに行くと、そのままベッドの上に倒れ込むように寝転がった。
「あの、体温計ありますか?あと風邪薬とか……」
「どうだろう……使った記憶がないから、ないかも……」
「じゃあ、レイナさんに買って来てもらうように連絡してもらえますか?」
私が買いに行けないから、レイナさんに頼むしかない。
でも私は携帯を持ってないし、レイナさんの連絡先もわからない。
熱はあるけど電話くらいだったら出来るだろうと思って聖夜さんにそう言った。
でも聖夜さんは首を左右に振る。
「寝てれば大丈夫だから。今までもそうしてきたし……」
「だけど……」
「本当に大丈夫だから……」
聖夜さんはそう言って笑顔を見せると、ゆっくり目を閉じた。
スースーと寝息が聞こえてくる。
本当に大丈夫なのかな……。
私は聖夜さんの寝顔を見ながらそんなことを思っていた。



