「聖夜さん、熱があるんじゃないですか?」
おでこが熱い。
聖夜さんの平熱が何度なのかわからないけど、明らかに熱のある熱さ。
「そう?」
私はコクンと頷いた。
「とりあえずベッドで寝て下さい」
「このままで大丈夫だよ。床が冷たくて気持ちいい」
「ダメです」
聖夜さんは私を見てクスクスと笑い出した。
「ねぇ、雪乃?僕のこと、怖くないの?」
「えっ?」
「キミはどうしてここにいるのかわかってる?」
聖夜さんはそう言って微笑む。
私と聖夜さんの立場は……。
殺人犯と、それを目撃したために拉致され被害者だ。
私は聖夜さんの言葉にコクリと頷いた。
「最初の頃は、凄く怯えていたのにね……」
聖夜さんはそう言って、手を伸ばすと私の頬にそっと触れた。
肩がビクンと跳ね上がり、胸がキューと苦しくなる。
やがてそれがドキドキに変わっていく。
「ゴメン、なさい……」
謝ることしか出来ない私。
そんな私を苦しそうに見つめる聖夜さん。
「どうして謝るの?」
「わから、ない……」
「謝らないでいいよ。僕は嬉しいんだ。雪乃が普通に接してくれて」
えっ?
私は目を見開き、聖夜さんを見た。
私の頬に添えられた聖夜さんの手。
優しく、そっと頬を撫でた。



