いや、動かないんじゃない。 逃げようとする気がないだけ。 あれだけ聖夜さんのことが怖かった。 早く逃げたい。 自由になりたいと思っていた。 なのに……。 今は、聖夜さんに対して怖いという感情はない。 私はフラフラしながら立ち上がり、窓の側に行った。 カーテンを少し開けて外を見る。 真っ暗な空から真っ白な雪がヒラヒラと舞い落ちていた。