「雪乃ちゃんって、好きな人、いる?」
「えっ?」
「あ、なんか話をコロコロ変えてゴメンね」
「いえ……」
好きな人……。
そんなこと聞かれるなんて思ってなかった。
友達同士で集まれば自然と恋バナになるけど、私は話に参加することなく相槌を打つだけだった。
初恋がいつだったかなんてのも覚えてない。
でも、レイナさんに好きな人はいるかと聞かれ、頭に聖夜さんの顔が浮かんだ。
聖夜さんのことを思うと、胸がキューと苦しくなってドキドキする。
私は聖夜さんのこと……。
だけど……。
「好きな人は、いない、です……」
レイナさんにそう言ってしまった。



