「最初は両親も気を遣いながらも可愛がってくれたんですが……。その、えっと……私の方が、両親に懐かないと言うか……」
さっきまで息を吐くように口から嘘がポンポンと出ていたのに。
頭にお父さんとお母さんの顔が浮かび、自分の両親を悪く言ってることに罪悪感があった。
お父さん、お母さん、ゴメンなさい……。
今だけ許して……。
だって、そうしないと聖夜さんが……。
私、聖夜さんが……。
「なかなか懐かない娘に、両親が……その……えーっと……私に、暴力を……」
そこまで言った時、私の目から涙がポロポロとこぼれ落ちていった。
両親に一度も手なんて挙げられたことなんてない。
厳しい面もあるけど、優しくて、私のことを愛してくれている。
「それで、あの日……両親に……私、怖くなって家を出て……それから……行くとこなくて、えっと……施設に……助けて、もらえると思って……」
「ねぇ、雪乃ちゃん?その手首のアザ……」
「えっ?」
レイナさんは私の手首を見ていた。
私も自分の手首を見る。
聖夜さんに着けられた結束バンドの痕。
そこがアザになっていた。
私は自分の手首を服の袖を引っ張って隠した。
「ねぇ、レイナ?もう、いいでしょ?」
さっきまで静かに私の嘘話を聞いていた聖夜さんが、レイナさんにそう言った。



