聖夜さんが、私の体を優しく起こしてくれた。


その時ーー。


私の鼻を掠める甘い香り。


……えっ?


気付くと私は、聖夜さんにギュッと強く抱きしめられていたんだ……。



「聖夜、さん?」



私が名前を呼んでも、聞こえてないかのように、そのまま私の体を抱きしめ続ける。


ギュッと強く強く、さっきよりも強く……。



「雪乃……」



聖夜さんの私の名前を呼ぶ声が耳に届いて、胸がドキドキしていて、溶けそうなぐらい体が熱くなっていく。



「雪乃……」



聖夜さんは私の名前を、ただ呼ぶだけで……。


でも、その声はどことなく切なくて、悲しそうで……。


なんで……。