そして、聖夜さんは片方の手を壁について、私の耳元に顔を寄せてきた。
私の胸は更に大きく高鳴っていく。
ドキドキと煩いぐらいに。
「逃げれると思わないでね」
私の耳元で囁くようにそう言った。
レイナさんは来ない、聖夜さんは出掛ける。
逃げようと思えば逃げられる。
外に出て助けを求めようと思えば出来る。
それは私にとってチャンスでしかない。
でも、なぜか私は首を縦に振っていた。
私の反応に、聖夜さんはニッコリ微笑んだ。
「良かった」
そう言って、立ち上がった聖夜さん。
「でもね……やっぱり信用出来ない」
聖夜さんはそう言ってクスッと笑った。
そして、クローゼット扉を開けた聖夜さん。
その手には結束バンドが握られていた。



