「今日はいないよ。今か稼ぎ時だからね。レイナも忙しいみたい」



聖夜さんはそう言ってクスッと笑った。



「そうなんですね……」


「雪乃はレイナとすっかり仲良しさんだね」


「そんなことは……」


「でもね……」



聖夜さんがいきなり立ち上がった。


“ビクン”と体が揺れる。


私の方へと一歩、また一歩ゆっくり近付いて来る。


逃げようにも私の後ろは壁で、これ以上、逃げることは出来ない。


聖夜さんが私の前に来て、その場にしゃがんだ。


同じ目線にいる聖夜さん。


心臓が煩いぐらいドキドキしている。


切れ長の目が私を捕らえて離さない。


私は目を離すことも出来ずに、聖夜さんの目をジッと見つめていた。