『高坂幸夫(コウサカユキオ)、22歳』
えっ…。
私は高坂君の言葉に自分の耳を疑った。
『どうして俺が江河さんのこと知っていたと思う…?』
「それは…みんなの噂で…」
『俺はそれより前からあなたを知っていた。ここに転校してくる前から…。どうしてだかもうわかるよね…?』
まさ…か…。
バラバラだったピースがくっつき始める。
どうして私のことを知っているのか…そんなの理由は1つしかない。
『俺はあなたの家を燃やした高坂幸夫の弟だ』
最後のピースがはまった瞬間、私は高坂君の服を掴んだ。
「あなたのお兄さんがお母さんとお父さんを!」
高坂君が悪いわけではない。実際に放火をしたのは高坂君のお兄さん。
でもこのやるせない怒りをどこにぶつけていいかわからなかった。
「あなたのお兄さんのせいで…っ!幸せだった私の生活が…っ!」
自分が失礼なことをしているのはわかっている。
わかっているけど…1度動き出した歯車は簡単には止まらない。
『本当にすまないと思ってる…俺の兄が…』
「言葉なんていらない!ほしいのは私のお母さんとお父さんだけ!お母さんとお父さんを…っ…返してよっ!」
なんて自分は馬鹿なことを言っているのだろう。
死んだ人は絶対に蘇らないのに…。
