家のドアを近所迷惑を承知で思いっきり開けた。


いてもたってもいられないこの気持ちをすべてドアにぶつけた。


「兄さん!」


リビングから駆けてくる芽依の姿にホッと胸をなで下ろす。


よかった…なにかあったわけじゃないんだな…。


『ごめ…っ…ちょっとトラブルがあって…』


ずっと走っていたせいか言葉が途切れ途切れになってしまう。


そんな俺に芽依はしがみついてきた。


芽依…?


「よかった…よかった…」


俺の服が濡れていくのがわかる。


芽依…泣いているのか…?


『ごめん…芽依…』

「怖かったよ…兄さんが帰ってこないんじゃないかと思った…捨てられるのかと思った…」


俺はこの時自分を恥じた。


そうだ…こいつはたくさんの大切な人を失っているんだ。


両親…親友…。


そんな芽依をこんなになるまでほったらかしにして…なにやってんだ…俺。


『…っんなわけねえだろ…』


芽依の背中に腕を回せば、芽依はよりいっそう俺に抱きついてくる。


俺がそばにいてやらないで…どうすんだよっ…!


憤りのない怒りを感じたが、芽依のにおいをかいでるうちにどうでもよくなってきた。


ただ…芽依のそばにいるだけなのに…。


こんなにも落ち着くなんて…。