やべぇ…早く帰らねえと…。


時刻は11時30分。もう30分も過ぎている。


『先生、いい加減離してください!芽依が待ってるんです!』

『あなたが納得するまで帰さないわ!』


『……江河君…?…渡辺先生…?』


声のする方を見ると俺と同じ学校の制服を着た女子がいた。


『さ、笹山さん!』


先生は慌てて俺の手を離し、そそくさと逃げるように帰って行った。


『どうして…江河君と先生が…?』


っち…面倒なとこ見られたな…。


『あー…笹山さんだっけ?ちょっといいかな?』

『あ、はい…』


笹山は俺の方へちょこちょこと歩いてきた。


その仕草が妙に芽依に似ている。


『このこと黙っててくんね?』

『…江河君と先生の関係…ですよね…?』

『ああ…ただとは言わないから』


俺は財布からお札を何枚か取り出した。


『そ、そんなの受け取れません!そんなの頂かなくてもこのことは黙ってます!』

『…いいのか?』

『あ…あの…その代わり1つだけ…お願い聞いてもらえますか…?』

『まあ…聞けるものなら…』