一瞬、俺は耳を疑った。


『はっ…どういうことだよ…』

『俺の後輩が言っててさ。夜にヤバイ親父と一緒に歩いてるの見かけたらしいぜ』


俺が帰ってくるのはいつも遅い。


だから芽衣がいつ帰ってきてるかは知らなかった。


(私も…やるから)


それって…そういう意味なのかよ…!!


俺はいてもたってもいられず芽衣のクラスまで走った。


クラスに着くと、1人ぽつんと窓を眺めている芽衣。


『おい、芽衣!』


俺がそう呼ぶと少し肩をビクッとさせた芽衣。


しかしいつもの笑顔で俺のところまでちょこちょこと歩いてくる。


「どうしたの兄さん。珍しいね、私のクラスの来るなんて」

『ちょっと来い』


俺は有無を言わせず芽衣の手を引っ張り誰も使っていない視聴覚室に連れ込んだ。


『お前、どういうことだよ…援交してるって…』

「だ、誰からそれを…」


芽衣の目からは焦りの色が伺える。


『ダチから…っつかなんで否定しないんだよ!!』


そんなの嘘に決まってるじゃん、っといつもの笑顔で言ってほしかった。


しかし芽衣は観念したかのようにゆっくりと目を閉じ、


「バレちゃったんだね…」

『なんで…なんでそんなこと…』

「理由は兄さんと一緒だよ…。私、兄さんに守られてるだけじゃ嫌なの…私も兄さんを守りたいの…それに…」


その続きを言う前に俺は芽衣を抱きしめた。