「ただいまっ」


静寂な夜を壊すかのように私は家のドアを思い切り開けた。


時刻は12時。


あれから急いで帰ったが西駅から家まではどんなに早くても30分はかかってしまう。


で、結局着いたのは日付が変わった直後。


兄さん…怒ってるだろうなぁ…。


以前、11時に帰ると言っておきながら客とのトラブルで1時に帰ってきたことがある。


その時は兄さんから20分近く説教をされた。


兄さんって怒ると怖いからなぁ…。


恐る恐るリビングのドアを開けベッドに近づく。


「あ…れっ…」


ベッドの上にあるはずの膨らみがなかった。


兄さん…?


掛け布団をどけてみてもやはり兄さんはいない。


「もう12時だよね…仕事長引いたの…?」


不安と焦りでお風呂に入ることも忘れ、ベッドのなかに潜り込んだ。


兄さんが約束の時間を1時間も越したことは今までにない。


「…兄さん」