「渡邉さん。」 まだ私のケガが完治していないから、代わりに荷物を鞄につめてくれている渡邉さんは「ん?」といってこっちに振り向いた。 「本当に色々お世話になりました。 渡邉さんのおかげで、こうやって無事退院できます。」 「俺がいなくても、退院できた。」 入院している間に気付いた。 渡邉さんは人の感謝の気持ちを素直に受け取らない。 「そんなことないです。 渡邉さんがいなかっ『お前さ、』 ・・・まだ感謝の気持ちを伝えている途中なのに遮られてしまった。