「分かりました。」





そう言うと渡邉さんが私をお姫様だっこをして車いすに移してくれる。





何回やってもらっても慣れないな、お姫様だっこなんて。





いちいち顔を赤らめる私に「いい加減もう慣れろ。」なんて言うけど、きっと私は退院するまで慣れないと思う。





「渡邉さん。」





「ん?」





「本当にごめんなさい。私の所為で仕事とかも途中で抜けて来させたりしちゃって・・・・・・」





「何言ってんだ。大丈夫だって言ってんだろ。





あと坂本さん優しいから、『早く凛ちゃんのとこ言ってやれ』ってうるせえんだ。」





私の家庭の事情について、坂本さんに渡邉さんを通して伝えて貰った。





そっちの方が渡邉さんにとっても気が楽かなって思ったから。





渡邉さんは優しいから、独りで私や紘を守ってくれようとしてくれるような人だから。