弟、じゃない。だけど、弟。






「・・・ん?どした?」


一点を見つめて、固まるあたし。


つられるように、マナは腰を捻(ひね)って自分の後ろを見た。




・・・マナのすぐ後ろを、腕を組んで仲良く歩くカップル。

―――こっち側にいる男の子は、紛れも無く・・・凌。




「・・・凌」



思わず、ポロリと口から零れる名前。

囁き声ほどのそれを聞き取ったらしく、マナは“え!?どこ!!”と大きな声を上げる。

・・・分からないだろう、道には人がいっぱい歩いているから。



そんな中、だんだん遠のいていく凌と・・・一瞬、ほんの一瞬だけど―――目が、合った気がした。