弟、じゃない。だけど、弟。




ずっと、無言で見続けてくる凌の視線が恥ずかしくて、急いで部屋へ逃げようとした。


フローリングを見つめながら、足を踏み出した・・・




「・・・」




お風呂上りで火照っているあたしの体。


何故か左の手首が・・・ひんやりと、する。



引き止められたように、体は動かない。

・・・いや、“ように”ではなく・・・引き止められて、いる・・・?



「え?・・・え?」



更に混乱したあたしは、真正面に見えるドアノブを見つめながら素っ頓狂な声を出す。




あたしは、手首を掴まれている?

誰に?

・・・凌、に?