「なぁにをたるるんや!絶対にあかんッ!!」



翌朝。

木製のテーブルの上に並べられているご飯を食べながら、今まで遠目に眺めるだけで実際には行った事がないすぐ其処にある山へ登って少しだけ探検をして来る。

僕がお箸を片手に笑顔でそう伝えた、直後。

おじいちゃんは家全体に響き渡る程の怒声を上げた。

優しくて温厚なおじいちゃんに突然怒鳴られた事に吃驚して、思わず涙腺が緩んだ。


「な、なんで…?」

「なぜえででもじゃ!絶対にあがな山にゃぁ行っちゃぁならんぞ!」


涙が零れ落ちないようにお箸を強く握り締めて耐え、震える声で理由を尋ねてみたけれどもう一度怒声を上げられただけで教えてはくれなかった。

テーブルを挟んで向かい合わせで座っているからおじいちゃんの表情がよく見えるけれど、本当に怖い顔をしている。

普段は垂れた目を吊り上げ、息を荒くして目の前に座る僕を鋭く睨んでいる。