一週間前。

お父さんに車で連れて来られたのは、--県の山沿いの道の奥にある麓の小さな村。

其処の村におじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる家がある。

村の中には古い神社や細い川があるくらいで、他には何もない僻地。

だけど、近所のおじいちゃんやおばあちゃんは皆優しくて良い人ばかりだから何もなくても文句はなかった。

でも、一つだけ淋しいと思った事がある。

それは、この村に僕と同い年くらいの子供が居ない事だ。

村の住民はおじいちゃんやおばあちゃんばかりで、全員がお年寄りじゃないけれどこの村で若い人といえば僕のお父さんと同い年くらいの人。

三十歳を過ぎた人ですら、たったの数人しか居ないみたいだ。

おじいちゃん達が住む村に来るのは初めてじゃないのに、その事を知ったのは一週間前だった。

今まで遊びに来るだけで泊まりに来た事は一度もなかった僕が、その事実を知らないのは当たり前だっておじいちゃんは笑って云ってたけれど。