「…陸」


ゆっくりと視線をあげると
切れ長の目が冷たくあたしを見下ろしてる。



「あ〜陸!今日の姫乃不機嫌だから気をつけてね」


余計なことを言ったユリの声にも
反応一つしない。


あぁ…もう

本当にイヤ


陸の視線にたえられなくなって
視線を逸らした。


あたしの後ろでは
四人が楽しそうに騒いでるのに

あたしと陸の空間は
重くなるばかり。



何か話さなきゃとも考えたけど
既に遅いと思ってた。



「怒ってんのか」


「陸には関係ない」


そんな可愛いげのないこと
言えちゃうくらいの女に

いつからなったんだろ…


本当に、いくら考えたって
思い出せないけど


――でも




「オレのせいだろ?」




あなたのせいだっていうのは
覚えてるよ……陸。