体だけでも繋ぎ止めたい







「ごめん、姫乃。…これも冗談だよ」


「え……?」



顔を上げると
優夜が笑っていた。



冗談を言う時
優夜は決まって笑う。



でも、なんで?

そんなに悲しそうに笑うの……




真剣な顔をしたかと思えば
照れて顔を赤くして

笑ってまた、冗談だと言う。




「…あたしーー」


「冗談だから!」


私の声より大きな声で
優夜が怒鳴るように言った。


優夜の膝の上でつくられた拳が
少しだけ震えている。




このまま流してしまえば
それでいいのかもしれない……


前のように、冗談だと言う優夜の言葉を真に受けてしまう鈍感な私になれば……


今まで通りでいられるかもしれない。



ーーー鈍感な女になれば



そう考えた自分に
嫌悪感を抱いた。


気付いてしまったんだから
流していいはずがない。



「でもっーー」


「姫乃」



私の言葉は再び遮られた。



「頼むから……このまま流してよ」



聞いたこともない切ない声で
言われてしまったら


それ以上なにも言えなかった。