ユリの言葉で足が止まる。
そんなあたしにつられて
ユリの足も止まった。
「なんで?」
真っ直ぐに表情一つ変えず
ユリを見つめる。
いつもは気を使って
聞いてこないくせに
「聞いちゃだめだった?」
あたしはちっとも笑えないのに
ユリはニコリとする。
あたしがいくら素っ気なくても
いくら笑わなくても
ユリはそれを気にしない。
あたしが笑ってるからとでも言うように
いつもあたしに笑顔を向ける。
あたしは、それが嫌い。
あたしがユリを見つめたままでいると
後ろから聞き慣れた声がしてきた。
「ユリたちなにしてんだよ?」
「あ、剛〜!おはよ」
「相変わらず元気だな〜」
剛は大学に入って知り合った。
親しみやすく、友達も多くて
あたしの苦手なタイプ。


