動かないと思っていた足は
嘘のように簡単に動いた。
背後からはまだ
陸と彼女の声が聴こえるけれど
優夜がうるさいほど喋り続けるから
そんなの全然耳に入らない。
そして、あまりにも喋るものだから
気付いてしまう。
優夜の優しさーー
だって、海の家に行っても一人で絶え間なく喋り続けるんだもの。
可愛い子目当てじゃなかったの?
お腹空いたんじゃなかったの?
聞こうにも優夜は、そんな間をあたえてくれないくらいひたすら喋ってる。
だから、気付きたくなくても
気付いちゃう。
「でさ、ここの海ってイルカが見れるらしいんだけーー…」
「ねぇ」
あまりにも喋らしてくれないから
優夜の話を遮った。
目の前には、珍しく真顔の優夜。
「……ありがとう」
聞こえるか聞こえないかの声で
お礼を言ってあげる。
聞こえなければそれでいい。
絶対優夜は調子にのるから。


