「おはよ、姫乃」


次の日の朝
いつものように大学に行くと

友達のユリが話かけてきた。


谷原 姫乃

それがあたしの名前だけど
あたしは自分の名前が嫌い。



「おはよ」


「今日は不機嫌ね」


普通に返したつもりなのに
勘の鋭いユリ。



「今日もでしょ」


「あ、自分で分かってるんだ?」



ユリとは高校から一緒で
いつも隣にいた。


あたしは口数が少なくて
周りに人が集まる人間でもない

むしろ、その逆。


でも、ユリは違う。


あたしの隣に自然と来て
自然と居てくれる。




「昨日も泊まったの?」