顔は見えなかった。
見えるのは小さな後ろ姿。

「入学式なんてイイじゃん♪俺らと遊んだ方が楽しいよ?」
「きゃっ…」

1人の男が女子の肩に手をまわした。

あ〜あ…俺こういうの、ほっとけないんだよな〜。

俺は女子の肩に手をまわしている男に近づいて行って…

「ねぇ…その手、離してくんない?」
「あぁ!?誰だ、テメェ!?」
「俺は…ただの通りすがりの人?ですケド(笑)」
「はぁ!?テメーふざけてんじゃねーッ!!」

1人の男が殴りかかってきた。

…暴力なんていけないんだぁ。

俺は殴られる前にその男を殴った。

「うッ…」

男はその場に倒れこむ。

…コイツ弱っ。
弱いクセにナンパなんかしてんじゃねーよ。

それを見ていた残りの男たちも殴りかかってきた。

…同じく殴られる前に殴ってやったケド。

「クソッ…お前何者なんだよ…!?」
「え?だから、ただの通りすがりの人だって(笑)」
「畜生…行くぞ、お前らぁ」

そう言ってと男3人は走り去っていった。

…ダセェな。

「大丈夫?」

振り返って助けた女子を見た
瞬間、俺はしばらく動けなくなってしまった。

「助けてくれて、ありがとう…あッ!血が出てる…」

この子…めちゃくちゃ可愛い。
俺が今まで見てきた子の中できっと…いや、ダントツで可愛い。

「えっ?血?」

やっと声が出た。
血って何?

「口のとこ…血が出てる」