さっきまで目に溢れて止まらなかった涙は律君のキスであっさり止まった。

「荷物、持てるか?」
「大丈夫、ありがと」

「じゃあ、またな」
「うん。送ってくれてありがとう」
「おぅ」
「ばいばい」
「うん、じゃあ」

そう言って律君は歩き出した。

私はしばらく律君の背中を見詰めていた。

だんだん小さくなる背中。

私の大好きな人の背中。