茶色い地毛の髪をもつ私とは違って、いかにも日本風美女の黒髪を持つ千紗は、私と並ぶのが可哀想になるくらい綺麗で。


髪をまとめるときなんか女の私でさえ見とれてしまうぐらいだ。



「えっと、愛の部屋はあそこを曲がって奥の部屋かな」


「なんかドキドキしちゃうかも」


「準備はいいですかい、愛サンや?」


「い、いいでっせ、千紗サン」



―私はこの角を曲がった瞬間、気を失いたくなるくらいの出来事があることをまだ知らない。