『えっ?えっ?先生、来るの?』

「あぁ、今から行く」


俺は、携帯で話したまま、出掛ける準備をする。


『ダメだよ。バレちゃったらどうするの?だから、さっきの言葉は忘れて!ごめんね』


未来は必死に止めようとしている。

未来が不安がっているから。

そんなのは、言い訳にしかすぎない。

未来が言ったからじゃない。

俺が……

俺が、未来に会えない事に、耐えられないんだ。


「俺が未来に会いたいんだ」


俺は普段言えないようなセリフを言う。

自分でも、こんな言葉が出て来た事に驚いた。


『先生、本当に大丈夫だよ!来週、会えるもんね?それまでの楽しみにしておくね?じゃぁ、切るね。バイバイ!』


と言って、電話を切られてしまった。


「俺が来週まで待てないんだよ……」


携帯を見つめながら、俺はボソッと呟いた――…