理科準備室の甘い秘め事

『ただね……』


未来はそこまで言うと黙ってしまう。

俺は未来の次の言葉を焦らさずに待つ。


『ただ……、美咲先生はいいなって……』

「えっ?」


何が?

美咲の何が羨ましいんだ?


『だって……。先生と普通に……周りを気にせずに会えるんだもん』


未来はギリギリ聞き取れるか、ってくらいの小さな声で呟く。

やっぱり俺と付き合う事によって、未来に辛い思いをさせている。

堂々と会ったり出来ない。

その事は、わかっている事なんだけど。

やっぱり、あの時……

未来が「準備室に来ない」と決意した時。

あの時に、離れるべきだったのだろうか……

俺が未来を手放したくないから。

未来を側に置いておきたいから。

あの時、引き止めた。

それはやっぱり、俺のワガママだったのだろうか……