理科準備室の甘い秘め事

「その子の事を自然と目で追うようになっていて……。いつの間にか、気になる存在になっていた。でも、俺、教師だろ?さすがに生徒に手を出したらマズイじゃん。俺がこの学校に赴任して来た時に、校長先生からも言われていたし。だから、ずっと気持ちを隠していた」


それって、もしかしなくても、私の事だよね?

普段からよくこける私は、マラソンの授業の時、保健室の先生に呆れられるくらいほぼ毎回こけていた。


「でも、未来が2年になった時……。俺に『勉強を教えて』って言ってきただろ?俺、すごく嬉しかった。ずっと好きだった未来と一緒に……、二人で居られる時間が出来て」


永井先生は少し腕の力を緩める。

そして、私を包み込んだままじっと見つめる。


「俺、生徒にどう思われてもいいって思っていたのにさ……。未来だけは違った。校長先生の忠告も頭にはあったけど。でも、“この子も俺の事を好きになってくれたら”って、ずっとそう思っていた」


あの時はもう、永井先生も私の事を好きだと思ってくれていたんだ。