理科準備室の甘い秘め事

「どうしたんだよ、急に……」


永井先生は私の肩に両手を置き、私の背の高さまでかがんで、私の顔を覗き込む。


「急に、じゃないよ。前からずっと……、ずっと、不安だった」


私はまっすぐ永井先生を見つめる。


「だって……、バレンタインの時、私、先生に好きって言って……。でも、先生。私の事どう思っているのか、言ってくれた事ないんだもん。たまに抱きしめてくれたりするから、“もしかして先生も?”って思ったりするけど……。だけど、今までと何も変わらないんだもん」


怖くて、ずっと聞けなかった永井先生の本当の気持ち。

だけど、一度言葉にすると、私はもう止まらなかった。


「何とも思っていないのなら、優しくしないで!私の事……、抱きしめたりしないで!!」


そう言いながら、大粒の涙が溢れてくる。

永井先生の前で、泣くつもりなんてなかったのに……


私は俯き、涙を拭う。


「……ごめん」


ずっと黙って私の話を聞いていた永井先生が口を開く。