理科準備室の甘い秘め事

「ちっ、ちがっ……」

「へぇ−、どんな男?」


私の反応を見て、拓真は楽しんでいる。


「いいでしょ、どんな人だって……」


恥ずかしくなり、顔を赤くしたまま、拓真から目を逸らす。

恥ずかしい以前に、“学校の先生が好き”なんて、言えるわけがないけど。


「ふーん。そんな事言うんだぁー。じゃぁ、親父達に言っちゃおー!姉ちゃんに男がいるって。親父、びっくりするだろうなぁー」

「ちっ、ちょっと、待って!言わないで!!」


私は必死に拓真の腕を掴む。

そんな私に、拓真は勝ち誇ったかのように


「じゃぁ、夜食におにぎりでいいから作って持ってきてー」


鼻歌を歌いながら部屋に戻って行く。

拓真は受験生。

受験勉強を頑張っているし、お夜食くらい持って行くけど……

拓真に学校の先生が好きな事は話してないけど、弟に秘密を握られたような気分になった。