理科準備室の甘い秘め事

「……ねぇ、拓ちゃん?」

「なんだよ、気持ち悪い」


普段呼ぶ時は“拓真”だが、何かお願い事をする時は“拓ちゃん”と呼んでいる。

それがわかっている拓真は、本当に嫌そうな顔をした。


「バレンタインは明日だから、明日の楽しみにしない?」


私はこれでもかってくらいの笑顔で言う。


「もう0時過ぎてるから14日だもん!だから、いーじゃん。早くくれよ」


0時過ぎたからって……

お前は子供かっ!!


「あぁー、もうっ!!甘くないの作るのを忘れたの!だから、拓真が食べられる物がないの!」


私は開き直る。


「えぇーっ!?じゃぁ、なんで2種類……。あっ、男か!!姉ちゃん、男が出来たのか!」


拓真はニヤニヤしながら、私を見る。

その瞬間、私の顔はカーッと赤くなる。