魔法の指



「あー、このネックレス可愛い!」

「文花に似合いそうだな。」


「このリングおしゃれだねー」

「文花が着ければ完璧だな。」



「犬可愛いね...」

「文花のが可愛い」

.....なんか、ここ数時間私は舜さんから同じ言葉を聞いてばかりだと思うんです。

というか、そもそも、何故彼は私でも解るくらいに、
私をその、熟愛しているのでしょうか。

ちらり、と見上げれば、やはり整った顔立ちで。
私なんかと付き合うのが不思議です。

「あ、あのワンピース、文花に、似合いそう。」

ふと、ショーウィンドーの白いワンピースを彼が指す。

....ありえない。
あんなの、私似合わないです。

「あれ、買おうか。」

握られていた手を彼がいきなり引っ張る。
私はそれに抵抗するかのように、拒絶する。

「...む、むりっ!似合わないから!ほら、お、お茶しようよ!」