「もー…せっかくふいてやったのに」


「だって…」


「手もこんなに冷たい」



彼のゴツゴツした手が私の小さな手を包みこんで



そのまま引き寄せられた




「もう会社行きたくないよ」

「うん」

「失敗ばっかだし」

「うん」

私は腕を回して服をギュッと掴んだ


「みんなに迷惑かけてばっかでね…」


「うん…」


迎えにきてくれて彼は本当に抱きしめてくれて


私の吐き出したこと全部受け止めてくれて



最後には頭をよしよしって撫でてくれた



「お前、鼻真っ赤」


くすりと笑われてなんだか今更ながら恥ずかしい