「ばか、……電話じゃ抱きしめてあげられないじゃん」
すごく
困惑した切ない声が
耳に響いた
どうしよう
胸の奥がきゅーんてした
会いたい
会いたい
会いたい
「…今外だろ?
迎えにいくから、俺んちこい、いいな?」
優しく言い聞かせるように言われた言葉に素直に従った
「…うん」
少し心の黒いどろどろしてたものが
取り払われた気がした
こんなに夜遅いのにわざわざ迎えにきてくれて
迎えに来てくれた彼はなんだか心なしか心配してるように見えて
無言で彼のマフラーを私にぐるぐる巻いてくれた
「はは、丸々してる」
親指で涙を拭いながら微笑んだ彼のせい
またほっとして涙が止まらない
