それから数ヶ月経ち、その子は生まれた。
男の子だった。
名前は本当の母が、譲れないと父を押し切り、"優心"とつけた。
父は出産には立ち合ってはいないが、優心が生まれて1、2週間ほど経ったときに、本当の母に呼ばれ、訪ねていた。
その時私は、おばあちゃんに預けられて。
『…ねぇ……』
『ん?』
本当の母が口を開き、深刻な表情を浮かべながら父に問いかけた。
『……紗那と………優心には…やっぱり本当のことを言うべきじゃないの……?』
言いたかったことは、そんなことか…
父は深いため息をして、母に向かってきつく言った。
『紗那を置いて行ったのはおまえだろ!?今さらなんだよ…。紗那にはな、もう苦しまないようにって、薬使ってあんたの全てを消してんだよ。』
それを聞いた母は唖然として、今さらながら自分のしたことを悔いていた。
