やっと落ち着き、父に支えてもらい、リビングに行く。
テーブルの椅子に腰を下ろし、涙を出しつくしたせいか、疲れきっていた。
「紗那、どうしたんだ?よかったら話してくれないか…?」
誰かに聞いてほしかったのだろう。
今日起こったこと、全てを話した。
優心の母親に町中で会ったこと。
優心に紹介してもらい嬉しかったこと。
なのに母親は、認めてくれないうえに、私と優心をすぐ引き離し、連れて帰ったこと――
全部話して父を見ると、血相を変えて俯いていた。
「…?どうしたの?」
反対に私が父に問いかける。
父は少しだけ震えながら私のほうに顔を向けた。
「その男の子は……有馬…優心くん……?」
え……?
父は優心の名前を知っていた。
