「14年前…
…海で溺れてた僕を助けてくれた男の子を…ただただ尊敬して…
"あのお兄ちゃんみたいに人を助けたい"って…」
「えっ…神前?
お前もしかして…」
思い出した…
【瀬々羅木 美勇】
<セセラギ ミユウ>
…俺が中1の時に助けた男の子。
(あんときの…?でも…)
「お前苗字が…」
「僕が中学へ入学したと同時に両親が離婚したんです。
…今は父の苗字を名乗ってるんです。
婿養子でしたから…」
神前はそう言い、苦笑いするとまた涙をこぼしはじめた。
「入院してるときに…
先生がっ、『ココの病院の跡継ぎなのよ』って看護士さんに聞いて…
今度は僕が、あのお兄ちゃんをっ…
助けたいって…
医者に…なりたいって、思った、んですっ…」
神前は泣きながら一生懸命に伝えてくれている。
はぁ…
こんな姿でさえ愛おしいと思うなんて…
本当に俺らしくない…

