「まぁテメーも三十路だからな。別に産めばいいんじゃね?
誰の子だ?彼氏なんか居たのか?」
「生徒。」
聞き間違いだと思った。
「今何つった?」
「…高校の生徒の子を
妊娠しちゃったのよ。」
俺はカムイの胸ぐらをつかんだ。
「水無月先生…!」
「お前、産むつもりあんのか?」
「わかんない…
まだ相手にも言ってないし…でもおろす気なんか全くないよ。
簡単に人の命は捨てられないよ…」
カムイは切なく視線を落とした。
「辛気臭い顔すんな
似合わねぇ。
…とりあえず知り合いの産婦人科紹介してやるからそこ行け。
あと相手の餓鬼にちゃんと言えよ。切り捨てられたら俺に言え。」
俺は胸ぐらから腕を放しカムイの顔をじっと見つめた。
「ふふっ…ありがと。
何だかんだで私に優しいね影親は…」
「はっ。柄にもねぇこといってんじゃねーよ…
俺も神前も仕事あるから…ほら。」
俺はカムイに向けてカギを投げた。
「へっ…?」
「どーせ自分ん家帰る気しねーんだろ。
泊めてやるから俺んちにいろ。」
カムイはごめんね。と苦しく笑った後にありがとと言って旧病棟から出て行った。

