「…人と人との間って
コミュニケーションが大事って言うじゃないですか。」
「うん…?
まぁ、そうだなぁ。」
俺は信号待ちから見える自分の病院の標識を
ボーっと眺めた。
「でもコミュニケーションって言ったって
ただ話してるだけじゃコミュニケーションっていえないと思うんです。」
「う―…?
どう言うことだ?話が成立しているならそれは立派な―…」
神前の方に視線を向けた
思っている以上に
真剣な瞳で。
真剣な顔で話している。
「楽しい事、嬉しかったことを無表情で話したって何も面白くないでしょう?
悲しかった事、辛かったことを無理やり笑って話すのも違いますよね?」
「うん。」
「要はそう言うことですよ。
楽しい話は笑って楽しく話す。悲しい話は無理に笑ったりせず素の自分で話す。」
「………………。」
そこまで話し終えて
神前は表情を緩め、ふんわり微笑むと…
「素の自分。素の表情を見せて話せばそれこそ本当のコミュニケーションです―…!
嬉しいことを笑ってはなせたら…何より幸せじゃないですか♪…ね?」
俺の顔を真っ直ぐ見て
微笑む神前が眩しかった
「俺にはちょっと眩しすぎるな、お前の話は。」
「へ…?」

