「倖<サチ>さん…
僕、とても疲れてるんです…

もうどうしたらいいかのか…」



自分でも笑ってしまうような嘘臭い芝居がかった声で語りかける。




『…私、貴方のためならなんだってしてあげたいわ。今夜仕事が終わるの遅いの…

11時位かしら…

待っててくれる…?』



「ありがとう…
ございます…

僕の事分かってくれるのは倖さんだけです…」




プツッ―…


「11時…?ちっ―…
使えねぇ…」



俺は再びタバコを口にくわえ大きく吸った。




ピッピッピッ―…


『…もしもし。』


「燵矢<タツヤ>くん―…?
水無月だよ…」


『っっ―…!!
先生ぇ…?な、に…?』



今度はひとりの男に電話をかけた。
いや、男…と言うより
まだ男になりきれていない少年だ。