翌日は七月の最終土曜日とあって、受付カウンターは来訪者も少なく裕子は月報作成に終日費やすことが出来た。
日曜日、六時にセットした目覚ましが鳴る前にカーテンの隙間から入る夏の朝日が彼女を目覚めさせていた。
裕子は階下に降りると、早速弁当の準備にとりかかった。
中身を変えた三角おにぎりを十五個用意し、バスケットに五人分のお絞りと麦茶の入った水筒も入れた。
支度を整え、トーストと紅茶で簡単に朝食を終えると、玄関のチャイムが鳴った。
母親が応対しているらしく笑い声が聞こえてきた。
裕子が荷物を抱えて現れると、
「おはようございます」
と白い短パンとヨットパーカーが眩しい乾が立っていた。
「乾さん、お世話をおかけします」
母親が彼に挨拶すると、
「お母さん、帰りは遅くならないように送り届けます」
と乾は答えると、裕子の荷物を持ち、先に玄関を出た。
途中、美佐を迎えマリーナシティに到着するとパーキングには柳井の車が止まっていた。
日曜日とあって、係留している船のデッキには出港準備をしている人が多く、乾は桟橋を歩きながら挨拶を交わしていた。
「平沼さーん」
一番奥に係留しているヨットのデッキから恭子が手を振っていた。
近づくと、ブルーの船体に「乙姫」と書かれたヨットの船室から柳井がセールを引き上げたところだった。
「さぁ、乗ってください」
彼は手を伸ばし裕子たちを船に導いた。
乾はライフベストを配ってから、フェンダーを外し、エンジンをかけた。
柳井がモヤイロープを外すと、裕子達の髪を靡かせながらヨットはハーバーを出港した。
暫くすると、
「恭子ちゃん、ほれ、これを持ってて」
柳井は彼女にティラーを持たせ、簡単に説
日曜日、六時にセットした目覚ましが鳴る前にカーテンの隙間から入る夏の朝日が彼女を目覚めさせていた。
裕子は階下に降りると、早速弁当の準備にとりかかった。
中身を変えた三角おにぎりを十五個用意し、バスケットに五人分のお絞りと麦茶の入った水筒も入れた。
支度を整え、トーストと紅茶で簡単に朝食を終えると、玄関のチャイムが鳴った。
母親が応対しているらしく笑い声が聞こえてきた。
裕子が荷物を抱えて現れると、
「おはようございます」
と白い短パンとヨットパーカーが眩しい乾が立っていた。
「乾さん、お世話をおかけします」
母親が彼に挨拶すると、
「お母さん、帰りは遅くならないように送り届けます」
と乾は答えると、裕子の荷物を持ち、先に玄関を出た。
途中、美佐を迎えマリーナシティに到着するとパーキングには柳井の車が止まっていた。
日曜日とあって、係留している船のデッキには出港準備をしている人が多く、乾は桟橋を歩きながら挨拶を交わしていた。
「平沼さーん」
一番奥に係留しているヨットのデッキから恭子が手を振っていた。
近づくと、ブルーの船体に「乙姫」と書かれたヨットの船室から柳井がセールを引き上げたところだった。
「さぁ、乗ってください」
彼は手を伸ばし裕子たちを船に導いた。
乾はライフベストを配ってから、フェンダーを外し、エンジンをかけた。
柳井がモヤイロープを外すと、裕子達の髪を靡かせながらヨットはハーバーを出港した。
暫くすると、
「恭子ちゃん、ほれ、これを持ってて」
柳井は彼女にティラーを持たせ、簡単に説
